プロフェッショナル(専門家)と プロフェッサー(研究者)と パブリック(市民)との対話 聴 講 無 料 日時 ● 2003年11月28日(金) 午後1時30分〜 場所 ● 京都大学人文科学研究所 本館2階大会議室 講 演 コメンテーター
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本年度2003年、京都大学共通教育科目の授業の一つとして、書写の文化史と題して中国において文字がどの様な材料に書かれ、その書写材料がどう変化し、社会にどの様な影響を与えたのかを古代から近代にわたり解説するというリレー式講義を行っている。 シンポジウムはこの講義をふまえて企画され、閉ざされた大学の講義から広く一般社会に向けて発信することを目的とした研究授業、シンポジウムである。 本シンポジウムには、3人の外部講師をお招きした。ここに言う「外部」という言葉には、二重の意味が含まれている。一つは、京都大学の教官以外の方ということ、今ひとつは、その分野を専門に研究し、それを学生に教授することを本職にしている所謂大学の先生ではない方々ということである。特に後者は、このシンポジウムの趣旨そのものであり、書写材料を考えていくうえでの新しい試みと自負する点である。 三人の講師のうち、中根海童氏は、書家であり、また書道教育に従事されている教育家でもある。森田邦彦氏は、文房四宝、つまり紙・墨・筆・硯を取り扱う会社「青雲堂」の社長である。そして陳波氏は、篆刻家であり、中国杭州の有名な書芸術の学術団体「西冷印社」の社員である。 講師の面々は、いわば書写材料を取り扱うプロフェッショナルでもある。対象を研究するのでなく、対象と語り、また対象と一体となり、対象を実践の中に取り入れることを本職とする。それは、同じプロフェッショナルでも、書写材料を研究の対象とするプロフェッショナルである我々とは異なる立場におられる。 おそらく同じ書写材料を取り扱ったとしても、大学の研究者とは視点も考え方も違ったところがあるだろう。かかる実践のプロフェッショナルの講義を聞き、そこから互いの立場で討論をおこなうことで書写材料に対する考察を深める、それは参加している学生諸君もそうであり、そういった公開の研究授業を一般の市民にも開放すること、つまり教養と知を共有すること、それは開かれた教養教育、社会貢献となろう。 |