第1回 京都大学人文科学研究所 「TOKYO漢籍SEMINAR」


 人文科学研究所では、文部科学省の後援により2005年3月12日(土)、学術総合センター会議場において第1回「TOKYO漢籍SEMINAR」を開催した。

 本研究所では、これまで夏期講座、開所記念講演会等の公開講演会を催し、一般市民に向けて啓蒙活動を積極的に行ってきた。また、附属漢字情報研究センター(旧東洋学文献センター)においても、1972年以降、文部科学省(旧文部省)との共催で漢籍担当職員講習会を実施している。初級と中級の2コースをもつこの講習会は、漢籍整理に関する基礎知識を学ぶことのできる希有な場として、全国の大学および公共図書館から毎年多数の受講申し込みをいただいているが、図書館職員のみを対象とし、さらに実習を伴うことにより受講人数を制限せざるを得ない状況である。こうした現状に鑑み、まったく新しい視点に立って、より多くの人々を対象とした漢籍に関する講演会を開いてはどうかという文部科学省からのアドバイスをいただき、また本研究所としてもその必要性を強く感じていたので、上記のセミナーを立ち上げるに至った次第である。



 本セミナーの目的は、京都大学人文科学研究所が70年以上にわたって蓄積してきた中国学研究の成果をわかりやすく紹介し、多くの人々に漢籍、ひいては漢字文化全般に関する理解を深めてもらおうとするものである。講演を中心とするセミナー形式により毎年3月に東京で開催することとし「漢籍」の二文字を際だたせるために、「TOKYO漢籍SEMINAR」と銘打った。

 当日は、森時彦所長の開会挨拶に始まり、『古いけれども古びない 歴史があるから新しい***漢籍はおもしろい***』をテーマに三講師による講演 冨谷至教授「書写の文化史」、船山徹助教授「漢訳仏典の成立」、井波陵一教授「使えない字−諱と漢籍」が行われた。どの講演も興味深く、わかりやすく、おもしろかったという感想を頂いただけでなく、武田時昌教授の名司会が親しみやすく、10時30分から16時までという長時間にもかかわらずなごやかに終了した。


 今回のセミナーには、一般・学生・図書館関係・教育関係者から予想を上回る140名以上の申込みがあり、次回を期待される声のみならず、上記の漢籍担当職員講習会にも参加したいという希望まで寄せられたことは、まことにうれしいかぎりである。