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報告書 紀要 所報 (第四八号 2001)
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桑山正進 狹間直樹 張啓雄


人文科学研究所所報「人文」第四八号 2001年3月31日発行

随  想


大部門化とセンターの改組

桑山 正進

 三研究所が戦後ひとつの研究所の,日本部・東方部・西洋部として寄りあって半世紀。統合の熱気はいくらなんでもわからなくなる。研究所の運営形態や研究体制など将来をどうするといった想いに異見が出るのはここにきて当然で,一案の創出はなかなかにむずかしい。一昨年の末,それがまとまったについては山本さんや森さんほかの辛抱強い努力があったからである。

 大部門化に期待したのは,ポスト増のほかに,実験講座増であったが,いまかいまかと待つうち秋になってしまった。独法化がらみか,予算枠組みの大変動が突如発表された。講座費の基準が下方修正されてしまい,講座増どころのはなしではなくなった。そしてその年のすえに四月から新しい体制になることがほぼ確定した。

 「世界文化に関する人文科学の総合的研究」という研究所の目的は動かさず,一七小部門は五大部門に再編成,センターは拡充して漢字情報研究センターとなり,これら五部門一センターを二つの研究部にわけて運営する。文化をどうとらえるかが大部門構成の鍵となった。時間の経タテ横ョコ軸で観る文化生成研究部門と文化連関研究部門。あらたな文化研究はいかに創造しうるかといった課題は文化研究創成研究部門があたる。これらは人文学の理論や方法を特に扱う研究部であって人文学研究部と称する。

 一方,文化の表れ方や要素を実証研究する文化表象研究部門と文化構成研究部門。これらは東洋学に特化し,東方学研究部と称する。漢字情報研究センターは,旧の事業を引き継ぎつつ,漢字システムを正統な中国学術伝統をふまえて構築することを主たる事業とし,ひいては漢字を媒介とする東洋学の国際ハブセンターを目指す。

 菓子箱が格好よくても菓子がいい加減では商売にならない。研究という中身が充溢してきたから,外枠をそれにそって変えることになったのである。二五の共同研究の多くは毎週あるいは隔週開かれている。

 地道ながら活発なうごきだ。一三が人文学研究部,一二が東方学研究部の研究班である。これらはみな所員個人の研究を基礎にしている。共同研究班を軸に今後も研究所は活動していく。最近の経済効率優先の環境のなかで,基礎研究はそれだからこそ,その充実が期待されているはずである。


今考えていること 狹間 直樹
洛北滞在記――京都大学に滞在しての思い出―― 張  啓雄