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秋田茂 | 井狩彌介 | 船山徹 | 大原嘉豊 |
人文科学研究所所報「人文」第四八号 2001年3月31日発行 | |
共同研究の話題 |
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共同研究「帝国の研究」参加記 |
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秋田 茂 |
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一九九八年度から二〇〇〇年度までの三年間,山本有造教授が組織された「帝国の研究」班に,併任の非常勤講師として参加する機会を得た。 この研究会は,最初は,帝国に関する内外の研究史を概観する,二年間の勉強会のつもりで始まったと理解していた。山本教授が以前組織された「大東亜共栄圏の研究」を拡大・進化させるための予備的考察として位置づけられていた。イギリス帝国史研究の領域で何が問題になっているのか,欧米の最先端の研究はどういう状況なのか,主に研究史をフォローして,日本経済史の専門家に紹介するのが主な目的であったので,気安く参加した。 メンバー約十名は,イギリス史,日本経済史,アジア史の専門家の混成チームであり,最初の一年間は,お互いが何をどいう視角から研究しているのか,ハラを探りながら緩やかに進んでいった。ただ,山本班長からは,この研究会では主に理論(理屈)を問題にするのであり,個別具体的で実証的な史料や事実を論議するのではない,と毎回繰り返し「警告」を受けた。ともすれば,事実と史料に埋もれがちの私には,これはかなりのプレッシャーになった。 二年目になると,共同研究の全体像と分担が明らかになってきた。この共同研究は,帝国の「原理,類型,関係」という三つの部分から構成されている。「帝国の原理」に関わるのが,山本班長,神戸大学の王柯さん,人文研の安田さん,「帝国の類型」を問題にするのが,京大文学部の杉山さん,大阪経済大学の山本さん,人文研の山室さん,「帝国の関係性」を論じるのが,阪大の杉原さん,人文研の籠谷さん,そして私である。扱う帝国も,前近代から現代の旧ソ連まで,関連する地域は,ユーラシア大陸全体と近代のヨーロッパ海洋帝国を含む,文字通りの世界全域におよぶ。結果的に,帝国を通じた,グローバルヒストリーの構築につながるような雄大なプロジェクトになった。 五〇回を超える研究会での議論は,毎回フォローするのが精一杯であったが,終了後のビールを飲みながらの歓談も含めて,得るモノは多かった。柔軟な発想と,大胆な構想力が求められ,共同研究ならではの刺激とプレッシャーに満ちた三年間であった。成果は,いずれ論集として出版される予定である。外国人研究者や,日本人ゲストスピーカーとも議論する機会を与えていただき,山本班長に本当に感謝している。今後,三年間の共同研究で芽生えたチームワークと人間関係を大切にしていきたいと思う。 |
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(大阪外国語大学助教授) | |
南インドのヴェーダ写本研究班覚え書き | 井狩 彌介 |
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