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報告書 | 紀要 | 所報 | (第四五号 1999) |
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荒牧典俊 | 上野成利 | 武田時昌 | 水野直樹 |
人文科学研究所所報「人文」第四五号 1999年3月31日発行 | |
共同研究の話題 |
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日本の植民地支配 |
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――朝鮮と台湾―― |
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水野 直樹 |
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昨年四月から開始したこの共同研究班には,日本史・朝鮮史・台湾史の研究者が参加している。このように地域を越えた研究者が集まる研究会は,これまで他になかったといってよい。同じ日本の植民地支配を受けた朝鮮と台湾の歴史を研究する者なら,交流があってよさそうだが,実はそれほど深い交流は行なわれてこなかった。もちろん「植民地史」「東アジア」の名を冠した研究会はいくつかあり,それなりの意見交換はなされているが,定期的に行なわれる研究会や共同研究として運営されているものはないようである。 私がこの共同研究を呼びかけた理由の一つは,朝鮮史研究者と台湾史研究者の間で密度の高い交流・意見交換ができないものか,と考えたところにあった。幸い近年,朝鮮史だけでなく日本支配下の台湾の歴史を専門とする研究者が増えてきており,共同研究を進めるための条件が整いつつあるといってよい。 共同研究を始めたもう一つの理由は,植民地に関する研究方法・視角や資料について,日本史研究者の意見・情報を聞きたいと思ったことにある。植民地支配の問題を解明するには,日本史研究者との協同作業がなされねばならないことはいうまでもないが,資料の面でも日本史研究者の知識を借りなければならない。しかし,これも従来活発であったとはいえない。 そもそも日本史・朝鮮史・台湾史というような領域設定をしていること自体に大きな問題がある。もちろん,班員の中には領域を越えた視点から研究を行なっている人もいる。しかし,これまでの研究がそのような領域設定に縛られていたことも確かである。このような枠組みに縛られた研究状況を打ち破ることができるかどうかも,共同研究の課題の一つといえるかもしれない。 それぞれの領域・分野からでは見えない事柄を指摘しあい,知見を共有する研究グループを植民地史に関して築くことができれば,この共同研究は半分くらいは成功したことになるのではないか,と思っている。 私のもくろみが実現するかどうか,共同研究の歩みは緒についたばかりである。 |
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