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報告書 紀要 所報 (第四七号 2000)
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横山俊夫 大浦康介 宇城輝人 江田憲治 真下裕之


人文科学研究所所報「人文」第四七号 2000年3月31日発行

共同研究の話題


中国共産党史の今日

江田 憲治    

 「共産党史の研究者なんて,ワシントン条約の保護を受けなきゃ,そのうち絶滅してしまうよ」――とは,筆者がよく言う仲間内の冗談であるが,たしかに筆者の学生時分に比べれば,日本の中国現代史研究における共産党史の比重は随分軽くなった。それだけ共産党(とりわけ毛沢東)の存在が相対化され,現代史に対するアプローチが多様になった訳で,共産党史を「中華民国史」の政党史の一部ととらえる見解も有力になっている。

 だが,共産党史が民国史の一部に解消しきれないことも確かである。共産党は,中華人民共和国を作り上げた政党であり,共産党史なる視座は民国史・共和国史を通して有効なはずであるからだ。また九〇年代以降,中国における大量の党史資料の出版(中国の研究者によれば九割の文献が公表されているという)やロシアにおけるコミンテルン資料の公刊は,従来の研究環境を一変させている

 こうした研究状況こそが本研究班の出発点である。研究班では初期中国共産党に対する日本の影響,日本マルクス主義者の中国での活動,日中戦争期の中国共産主義者の抵抗等,「中国共産主義と日本」の関係を中心に報告・討議が重ねられ,共産党史を貫く,コミンテルンの絶大な影響力と,中国党独自の政策提起という相反する二つの側面が強く浮かび上がりつつある。

(京都産業大学助教授) 


無言をめぐって 横山 俊夫
ポルノグラフィー研究 大浦 康介
宴の後,言葉の森 宇城 輝人
「訳経僧伝」研究班のこと 真下 裕之