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報告書 紀要 所報 (第四七号 2000)
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横山俊夫 大浦康介 宇城輝人 江田憲治 真下裕之


人文科学研究所所報「人文」第四七号 2000年3月31日発行

共同研究の話題


「訳経僧伝」研究班のこと

真下 裕之    

 この研究班の作業は,訳経僧たちの伝記(漢文)の会読である。ユーラシア東半の海陸をめぐる人的・知的交流を,立体的に組み上げるための資料として,翻訳・注釈の作成を目指している。宗教,歴史のみならず,考古,言語,美術,文学などの専門家の参加を得て,できる限り多面的な検討とともに読み進めている。

 こういうわけで,毎回の担当者が用意する翻訳案・訳注にも,それぞれの個性が反映していてたいへんおもしろい。会読において交わされる話題はときに,環インド洋世界の海民ネットワークや,中世イスラームの君主の鑑文学にまでおよぶ。

 また,班員は文献の専門家ばかりではないので,折に触れ,班員の現地調査の報告がスライドを交えて行われる。これは,文献読みの研究班としては,他にない特徴であろう。

 文献読みの会はそれ自体,地味な作業の積み重ねだが,その目標である翻訳・注釈は,班員の個人研究に還元されるだけでなく,基礎資料としてさらに広く利用されることになる。つまり,素材自体の提示は,おのずと,基礎研究の拠点としての研究班の自己主張たりえると思うのである。

 この研究班は最終年度を迎えた。「訳経僧伝」の日本語訳および注釈の作成が,上首尾に完結することを期待する。なお,この班に先立つ班研究の成果として『悟空行記』訳・注が出版の段階に入りつつあり,同じく『法顕伝』訳・注も,整理が進行中であることも付け加えておく。


無言をめぐって 横山 俊夫
ポルノグラフィー研究 大浦 康介
宴の後,言葉の森 宇城 輝人
中国共産党史の今日 江田 憲治