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報告書 | 紀要 | 所報 | (第四五号 1999) |
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人文科学研究所所報「人文」第四五号 1999年3月31日発行 | |||
所のうち・そと |
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延安の三月 |
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岡村 秀典 |
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黄土高原の中央部にある延安は,一九三七年からの十年間,中国共産党が抗日戦争と内戦を指揮してきた革命の聖地として知られている。その延安郊外にある龍山文化の遺跡から,一千キロ以上離れた長江下流域の玉器が出土していると聞き,さっそく調査に出向くことにした。今から四千年ほど前に江南の玉器が「長征」したことが事実なら,伝説の夏王朝が生まれた「革命」の謎が解けるかもしれない,という期待があったからだ。 |
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延安は西安から夜汽車で八時間あまり。ホテルの延安賓館も今はさびれた様子で,宿泊を申し込むとフロント嬢は素っ気なく「没有」。しかし,日本人であることを告げると,即座に部屋が用意された。翌日の早朝,現地の研究者の案内で遺跡を踏査した。黄土高原に切り刻まれた溝谷は,三月というのに氷が凍ったままである。谷奥にある窰洞の任さん宅に駐車し,荒涼たる黄土の斜面をはい登ること一時間あまり,ようやく山頂の遺跡に到着した。黄土高原の山並みが絶景である。空腹をおさえ,拾った土器を抱えて山を下りたところ,任さん宅では昼食の準備ができあがっていた。はじめての外国人ということで,村長さんもやってきて食べたのがソバ粉でつくったホーロー麺。ソバをゆでている竈につながったオンドルに座って食べたこの麺は,突然の訪問客ゆえ肉片すらはいっていない質素なものだったが,身体の芯まで暖まったような気がする。なお,陝北のホーロー麺については,人文研の研究報告『中国技術史の研究』に石毛直道さんが「押しだし麺」と題する論文をタイミングよく発表されたので,詳しくはそれにゆずる。 |
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断章 ――ある問答から | 冨谷 至 | ||
二度目の台湾訪問で感じたこと | 籠谷 直人 | ||
カーラント・コレクションヘの旅 | 藤井 正人 | ||
中世学会議 | 小南 一郎 | ||
雨うけと変な器 | 織田 陽 | ||
〈人文科学研究協会 研究奨励賞〉 中江丑吉遺品を守ってくれた中国女性のこと |
阪谷 芳直 |